―――ギイイッと、重苦しいほど厚い扉が音を立てて開いてゆく。
馬車から降りた俺と日向を出迎えたのは慎ましやかなメイド服を着た女性で、言葉を交わすことなく俺たちを奥に案内していく。コツコツと廊下に響く自分の足音がやけにうるさかった。
そうして通された広間の、窓のそばには男の姿。
「…やぁ、殿下。しばらく会わない間にずいぶん大人らしくなったものだね」
「こちらこそご無沙汰をいたしました、若狭殿」
片足を床に着け、ひざまずくように広間の扉の前でそう挨拶をすれば返ってきたのは小さな笑い声と。
「僕の前でそんな振る舞いはよしてくれないか。…思い出したくないことまで思い出してしまう」
そう言う冷たい声。
…やはり、ただの好意で呼ばれたわけではなさそうだ。

