―――――毒のように甘い香りが私からすべてを奪う。


常陸との記憶が一つ一つはがされて、鍵付きの箱にしまわれていく。そのまま鍵がかかり、鍵はしずかに姿を消した。










「気分は、…いいよね?」


あれからどのくらい時間が経ったのかわからなかった。
寝かされて目隠しをされ、身体の自由を奪われて、ただ定期的に口に液体を流され、私はそれを貪るように飲み干していた。


そうする度に、記憶からなにかが消えていく。



「かわいそうな透子。“こちら側”に魅入られたがばっかりに」




―――私はその言葉の意味も分からぬまま、ただ真っ白な闇に堕ちていった。