「そうだ。レストランにでも行ってこようかな。一緒に行くか?」

 レストランと聞いて私は困った。暑くもないのに汗も出てきた。

「どこの?」

「いつもの所だよ」

 やっぱり。いつもの所ということは、○×レストランだ。まさゆきがいる。

「やっぱり、図書館にしようかな。どうする?」

「人間観察でしょ?」

「まぁね」

「じゃあ、私はいいや。お腹の調子も良くないから」

「お菓子の食べ過ぎだよ、それ」

 そう笑うと、じゃあ、行ってくるよと言い、 彼はどこに行くのか結局決めないまま行ってしまった。

 本当なら私だって彼と一緒に行きたいのに、まさゆきめ。

 まさゆきがどういった用事で私と話したいかはわからない。浮気して、女つくって別れた男だ。今更、元カレに呼ばれたって、困るんですけど!

 そんなまさゆきと別れてから、男なんていらないと思った矢先、今の彼が私に声をかけてきた。

「ずっと見てたんだ」

 彼が人間観察で乗っていた電車に私は通勤者として乗っていたのだ。