「ご飯美味しかった~」


「腹いっぱい。食い過ぎた」



雪夜と仲直りして、少しの間他愛もない会話をしてから、温泉に入ったり下の娯楽場で遊んだ。


部屋に戻ると食事が用意されていて、美味しくいただいた。


ほんとーにどれも美味しくて…!食べてる時ってどうしてこんなにも幸せなんだろう!


さっきまでの不安も吹き飛んで、私は旅行を満喫させてもらっていた。



「見てカナちゃん」



窓際に移動した雪夜に呼ばれ、私も駆け寄る。


指を指された方向を見れば、そこには昼とは違う景色が広がっていた。



「ここね、夜景もキレイなんだよ」



うわぁ…!



「ほんとだ…!キレイ…!!」



雪夜の言う通り、なんてキレイな夜景…!


人工的な明かりではない、山奥ならではの星空。


私の住んでいるところでは、星なんて全然見えないから、こんな星空初めてだ…!



「でも…」



ゆっくりと口を開いた雪夜が、私の肩を掴み引き寄せてくる。



「カナちゃんの方が何倍も「ストーップ!」



もう続きが読めてしまって、私は慌てて言葉を遮った。



「それ以上は言わないで!さすがに恥ずかしい!」



な、何を言い出すの…!


恥ずかしげもなく、こんなギザなセリフが言える雪夜が信じられない…!



「えー?どうして、言わせてよ~!」


「もう…なんでサラッとそんな寒いセリフ言えるの~」


「本心だよ!俺はね、思ったことはちゃんと伝えたいの!」



そう言って、ギュッと抱きしめてきた雪夜。


そんな風に言われたら…返す言葉が見当たらない…。


恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じながらも、なんだか嬉しくて、雪夜の胸に頬をすり寄せた。



こんなに、愛されている。
世界一大好きな人から。


きっとこの先、たくさんすれ違って、ケンカして、泣いて、悲しいこともあるかもしれない。
でも、きっとその何倍も、笑って、手を取り合って、幸せになっていくんだろう。


私たちは時が止まったように息を潜め見つめ合い、そしてどちらからともなく笑いあった。




【つづく】