俺にとってはその場しのぎの嘘で、あの女と付き合うつもりなんて全くなかったけれど、カナちゃんにとってはトラウマになるようなできごとだったのかもしれない。
そういうことを、何でもっと、わかってあげられなかったんだろう。
「カナちゃん、俺の目見て」
俺はその場にしゃがみ込み、カナちゃんの目線に合わせ頭を下げる。
恐る恐る顔をあげた彼女の目は赤くなっていて、胸がズキンと痛んだ。
「好きだよ」
肩を抱き寄せ、抱きしめる。
「カナちゃんが何よりも、誰よりも大好き。絶対に離れてなんていかない。約束する。この気持ちは、変わらないって」
「……っ」
「今は信じられないかもしれないけど、ちゃんと行動で示していくから。だから…俺の気持ちだけ、カナちゃんが愛しくてたまらないって気持ちだけは、信じてほしいんだ」

