何時もなら、もっと強引に、わがまま全開な発言をするのに…。
…どうして?
私、何か気に触ることしちゃった…?
雪夜に…嫌われちゃうようなこと、しちゃった?
あれ、どうしよう。どうしようっ…
突然、『フラれてしまうんじゃないか』という不安がどっと押し寄せる。
少し敏感になっているのもあるかもしれないけど、不安でいっぱいになってどうしようもない。
「雪夜っ…」
部屋から出ようとする雪夜を、止める。
雪夜は不思議そうな顔をしながら、私を見つめた。
「どうしたの…?カナちゃん」
「わ、私…なにかいけないことした?」
「カナちゃん…?」
いやだ。
せっかく旅行に来たのに。
せっかく、二人で楽しい思い出作るのに…
「雪夜っ…」
「カナちゃん、どうしたのっ…?」
雪夜に、フラれた時のことがフラッシュバックした。
南さんの元へ行ってしまった、あの時のことが。