明後日から夏休み始まるから…そうだ、休み長いんだし、カナちゃんさえよかったらどっか遠くに旅行とか…
…って、別に変な意味じゃねーけど!
一泊二日とかで、思い出作りもいいかもしれない。
そういえばカナちゃん、温泉旅行に行きたいって話してたな…。
…いや、夏に温泉って熱い?
でも、別に夏の温泉旅行なんて珍しいものでもないと思う、俺も行ったことあるし。
よし、そうと決まれば誘ってみよう!
その日の帰り道、
「ねぇカナちゃん…約束覚えてる?」
二人っきりで帰りながら、話を切り出した。
「約束…?」
「この前より成績良かったら、デートしてくれるって約束!」
まさか忘れてるっ…!
ショックで固まる俺を見て、カナちゃんがくすっと笑う。
どうやら覚えているようで、ホッと胸を撫で下ろした。
「どこいこっか?デート」
「それなんだけどさ…」
俺はカナちゃんの様子を伺いながら、恐る恐る口を開いた。
「一泊二日で…旅行とか、行かない?」
「…え?」
「温泉旅行…とか、ダメかな…?」
断れるのを覚悟で言い切ると、カナちゃんが不思議そうに俺を見る。
「温泉、旅行?」
や、やっぱり旅行はまだ早い…!?
で、でも俺そういうことしたいってわけじゃないし、いや、したいけど!!したいけどさ!!!
いつまでも待つつもりでいるし…今回の旅行は、ただ思い出を作りたくて…