……ふと、どこかの教室から泣き声が聞こえる。
じーっと耳をすませてみると、誰よりも愛しい、カナちゃんの声で。
「雪夜……雪、夜っ……!」
……俺の名前を呼んでいる。
その事実が、飛び上がるほど嬉しい。
「…っ、……カナちゃ、ん!」
早く誤解をといて、抱きしめたい衝動に駆られた俺は、勢いよく教室の扉をあけた。
目の前に映ったのは、誰もいない教室の中でしゃがみ込み、ボロボロと泣いているカナちゃんの姿。
「ごめん、ごめんっ……好きだよカナちゃん……っ!」
すぐさま駆け寄って、強く、強くカナちゃんを抱きしめる。

