キャリーに用意された部屋は、自分の部屋ほどではないが、広かった。

 「使用人の人たちにお願いしたのに。わざわざありがとう。」

 リチャード王子が、キャリーの荷物を持ってきてくれたんだ。

 「・・・お前顔に出すぎ。」

 「ふぇ?何が??」

 再びふぇ?を聞いて、リチャードは軽く笑う。

 「お前さ、親嫌いだろ?」

 ドキッと動揺するキャリー。

 が、すぐに親を尊敬するいい子ちゃんを演じる。

 「ううん。パパもママもすごいのよ?」

 (全然すごくなんてないわ。)

 「パパなんてすっごく頭いいんだから!何でも買ってくれるわ!

 (頭いいのは確かだけど、私には何も買ってくれなかったじゃない。)

 「ママも上品で、美人でしょ?やさしいし!」

 (あんなのお化粧で化けてるブスよ)

 瞳を閉じて、微笑みながら言うキャリーを、

 リチャードは真顔で見つめる。

 「嘘つけ。否定論が顔びっしり書いてある。」

 「バッ・・・バカ!!」

 汗をかきながら、必死の反論。

 「テメェ・・・。これから輸入出の条件結ぶ相手国の王子にバカはねーだろ・・・。」

 「も・・・もう、知んないっ!」

 プンプン怒ってるキャリーは、ベッドに腰掛ける。

 「あ・・・ふわふわ!アハハっ!!」

 ベッドに乗って、飛び跳ねるキャリー。

 「・・・テメーのがバカじゃねーか。ガキ。」

 リチャードは、部屋の角に荷物を置く。

 「なっっっ!!///ア・・・アンタいくつよ。。。」

 ベッドにうつむきに寝転がりながら、問うキャリー。

 10秒ほど沈黙が続いてから、リチャードはキャリーのほうを振り向いて口を開いた。