キャリーは、嬉しかった。

 自分が遠くへ行くのに、悲しんでくれる人がいることを。

 「・・・ありがと。」

 キャリーはそう言うと、窓の方へ振り返った。

 ―――木には、黒い鱗粉がほんの少しだけ、ついていた。