「んで。ど~すんだよ、ウォレスト」

  「あっ・・・あぁ・・。」

  ?と、ウォレストの気持ちに気づいていないシャイン。

  (これを了承したら、こいつといられるのか・・・。)

  「すっ・・・少しだけ・・・興味あ・・・ある。」

  顔を真っ赤にして、途切れがちに言葉を発する。実に初々しい姿だ。

  「よしっ!じゃあ決定。ウォレストの本名・年齢を教えて。」

  「なんでそんなのわざわざ言うんだ?別に俺にはカンケーないけど。」

  魔法使い・・・魔術師のことを知らないシャインは、
  ドロシーに問いかける。

  「私達魔法使いもね、最初の儀式があるのよ。」

  ドロシーはゆっくりと、シャインに話した。

  それを黙って聞きながら、ポケットに入っていたメモ帳にウォレストは名などを書く。

「真っ白なYシャツ一枚で、呪文を唱えながらリンゴの果実を一口かじるの。」

  ウォレストは会話の邪魔にならないよう、黙ってメモをドロシーに渡す。
  
  ドロシーは笑顔でコクンと頷いた。

  「その呪文がまた長いながい(笑)」

  眉を八の字にして苦笑いのドロシー。

  「そのあと、初めて覚える火の魔法で、このメモを塵(ちり)にしちゃうの」

  へぇ~。とシャイン&ウォレスト。

  「自分の存在を消す覚悟で魔術師という世界に飛び込みなさいという意味よ。」

  急に真顔になるドロシーに、ウォレストは少しビクッとする。

  (俺、あんなテキトーな覚悟でよかったのか?)

  不安になるウォレストに気づいているドロシーは、

  あえて彼の心情に触れず、キャリーの元へ帰るのだった。

                  第五話(完)