「嫌な奴でも覚えてるもんなんだなっ。」
わざと、にくったらしくリチャードは言う。
「お前・・・蛇っ?!」
「バカ言え。俺の母さんが蛇の妖の子なんだ。」
「マジかよ・・・!!!」
なんだか頭が困惑気味のシャインだが、一応理解は出来たらしい。
「だから、たまにこんな症状(?)が起きるわけ。でも今回はなんか違った。」
リチャードが、急に声のトーンを落として言う。
「何が違ったんだよ?」
シャインは、立っているリチャードの顔を下から覗き込んで聞く。
「急に“ココ”に飛ばされた。」
「飛ばされた?」
「おう。だから、きっと精神が勝手に動いたんだろうな。なんかあんのかよ?」
今度はリチャードがシャインに聞く。
「それが・・・。」
シャインはキャリーの事を、簡単により詳しく伝えた。
そして、エデンの話も。
「・・・おう。っつーことは、これが“運命”ってやつかよ・・・。」
「そんなあやふやなモン俺は信じてなかったのに・・・。」
男が、“運命”だのロマンチックな事など考えもしないだろう。
「でももし“運命”っつーやつならよ、上等だぜ!」
リチャードが鼻でフンと鳴らす。
「じゃあ、お前の直感を信じる。伝説に言う“もうひとつの果実”を捜してきてくれ。俺はキャリーを見てる。」
シャインは、真剣な眼差しでリチャードを見ながら言う。
「任せとけ。キャリーの為なら命でもかけれる。」
リチャードはフッと不敵に笑って言う。
「けど、キャリーは俺のだかんなっ・・・!ほらっ、捜してこいっ!」
シャインはリチャードの背中を押した。
「キャリー争奪戦はこの後なっ!」
リチャードはそう言い残すと、白い蛇に変幻して、植物の中に消えていった。
(頼むから・・・死なないでくれよキャリーっ・・・!!)
シャインは、心でそう願った。
第三十三話(完)