その瞬間、キャリーの部屋では―――・・・。

 「っ・・?!ドロシーっっ??!!」

 一瞬で目が覚めるキャリー。

 ダンッ!!バタンッ!!ダッダッ!!



 「ドロシーっ?!」

 キャリーが、ドロシーの部屋に飛び込む。

 「シャインっ―――・・・!!」

 キャリーの目の前には、血だらけの口をしたシャインに押し倒されているドロシー。

 「早く助けてっ・・!!」

 「うっ・・・うんっ!!」

 そう言って、キャリーはドロシーに魔法でハサミを出してもらい、自分の首元を軽く着る―――・・・それが、シャインの理性を失ったときの対処法のはずだったが、深く切りすぎたらしい。

 「痛っ・・・!!」

 (でもドロシーがっっ・・!!)

 そう言って、手の平いっぱいに自分の血を塗りつける。

 そして、シャインの口を開かせて、自分の血を舐めさせる。

 すると、覚醒時の赤眼は、いつもの金眼に戻りかける。

 「あ・・・ドロシーっ・・・。」

 「・・・変態。」

 そう言って、わざとシャインを睨む。

 「ごっゴメン・・・。」

 「・・・ま、しょうがないけど。」

 2年前に、既にシャインの事は、ドロシーとウォレストに説明したが、ドロシーを襲ったのは今回が初めてなのだ。

 「・・・それより、隣にカノジョいるけど。」

 そう言って、ドロシーは魔法で新しいネグリジェに着替える。
 すぐ隣のシャインに、着替えを見せぬよう。

 「あっ・・えと・・・襲ったのは・・・間違いないわけだから・・・スマン。」

 シャインが、とぎれまぎれに言う。

 「・・・わかってる。わかってるもん・・・。」

 そう言うキャリーだが、目には涙がいっぱいで、溢れかけている。

 「・・・許してあげなさいよ。仕方ないんだから。」

 ドロシーが、包帯を手に持つ。

 「ほら、助けてくれたのはありがたいけど、傷つけすぎ。」

 「あ・・・忘れてた。」

 それと同時に涙が一粒溢れた。襟元が真っ赤に染まっている。