そしてその夜。

 ドロシーは、夜更かしをしていた。

 (キャリーもそんな事考えることあるのね。)

 そう考えながら、魔術について書いてある本を読んでいた。

 ジジ・・・とロウソクの炎がパッと消えた。

 ちょうど切れたのだ。

 (ちょうどいいや。寝よ。)

 そう言って、ドロシーが布団に入ったその時・・・。

 カチャッ・・・。

 ドアが開いた音がした。

 (誰っ・・・?)

 ドロシーが布団から出て、上半身を起こした。

 「ハァ・・・ハァ・・・。」

 吐息が聞こえる。深い、低い、うめくような獣のような声。

 ドロシーは、“それ”が誰だかわかった。

 すると、急に寒気と吐き気に襲われた。

 それと同時に、“それ”はドロシーを押し倒した。

 ドロシーの服の上半身の部分をビリビリに剥いだ。

 「やめてっ・・・やめてってばぁ・・!!!!」

 魔法を使おうと片手を伸ばした。が、ドロシーの頭に、一言の言葉がよぎった。



 『なんでも魔術に頼っちゃダメ。できる事は自分でやりなさい。』



 (なんでこんな時にこの言葉っ・・・!!)

 「やめてっ・・・やめてっ・・・!!」

 “それ”は、ドロシーの下着までも破り裂(さ)いた。








 「やめてっ――――・・・“シャイン”・・・。」








         第三十話(完)