同時刻・・・。

  ドロシーは無事アンデフィドラ王国関所についた。
  関所とは、その国へ入る門のようなところだ。

  ザーッと大雨の雫が、フード付きマントを着たドロシーに打ち付ける。

  「問題はここなのよねぇ~・・・。」

  他国へ行くことはなにも悪くない。
  が、ディエアヨルドの民がアンデフィドラ国へ行くとなると、
  下剋上を出しているようなものだ。

  言わなければ良いのだが、どの国も関所では自らの個人情報を
  番人(関所で、来国者を取り締まる役)に明かさなければならない。

  が、ドロシーは案外余裕そうだ。

  「こんなちっさい扉なんて簡単に通ってやろうじゃない。」

  フッと嫌味なように笑い、足を一歩前に出した。

  するとどこからか、杖を出して横に持った。

  腕を伸ばして、杖を横にピンッと持っている。

  「私は他国の貴族。美人で私より2つ上の18歳のお姉さん・・・。」

  そう簡単に呟くと、あっという間に、立派な女性になった。

  金髪で髪を上に束ねている。いわゆるシンデレラヘアーだ。

  薄い紫のドレスに身を包み、顔はドロシーの面影を一切香らせない。

  「さぁ、行くかな・・・行きましょう~。」

  がんばって貴族用語を使って足を動かした。