次の日の午前、ドロシーはアンデフィドラ王国へ出かけた。

  申し訳なさそうなドロシーを、下手くそな作り笑いで送る。

  そして午後・・・。

  結構な量の雨が降ってきた。

  「・・・ドロシー大丈夫かな・・・。」

  ポケーとしているキャリー。

  すると、

  コンコン―――――・・・。

  ノックがなった。

  「どうぞ。」

  ドアの方を振り向くと・・・。

  「しっ・・・失礼しますっ!」

  ガッチガチに緊張した、小柄なメイドが入ってきた。

  「あっ新しくっ・・・雇っていただきましたっ!!
   ミーナと申しますぅ!!よっよろしくおねがいしまスっ!」

  10歳位だろうか。
  グレープフルーツ色の髪を、こめかみ程で結いあげ、
頬を赤らめながらもしっかりと主人・・・キャリーを見つめている
  その少女は、ミーナといった。

  「こちらこそ、よろしくね。」

  作り笑いじゃない、自然にこぼれた笑みにミーナは気づき、
  ホッとした。

  「?どうしたのミーナ?」

  「あっ・・あの・・・えと・・・。」

  ワタワタ焦るミーナを、キャリーは“?”で見つめた。

  「おっ・・・怒らないですか・・・?」

  何を言うのかと思ったら、何かの忠告のようなものを言った。

  「うんっ。怒らないよ。だから言ってみて。」

  少し沈黙が流れ、ミーナは言った。

  「・・・怖かったらどうしよう・・・って・・・。」

  ・・・するとキャリーは、

  「アハハッ!!」

  大きな声で笑った。

  「あのっ、えっと、その・・・、」

  「大丈夫大丈夫!私こう見えて意外とやさしいのよ?」

  と言うと、ミーナは

  「いえっ!お嬢様はお顔立ちからしてとても優しそうに見えます。」

  


   天使のようだった


  その笑顔につられて、キャリーも笑った。

  「ハハっお世辞でも嬉しいわ。ありがとっ!」

  「そんなのことないです!本当ですよっ。
   お嬢様の笑顔は女神のようですっ。」

  照れながら、ミーナは言った。

  「私はミーナの笑顔は天使みたいに見えるわっ!」

  すると、ミーナは

  「てっ・・・天使ですか・・・。」

  赤面のミーナに、そっと

  「ほら、紅茶を入れてあげるっ!一緒に飲もっ。」

  「でもっ・・・私一応勤務中ですっ・・・」

  すると、キャリーはニヤリと不敵な笑みを見せ、

  「一緒に飲んでくれなきゃお給料下げちゃうよ?」

  すると、ミーナは複雑な顔をしてコクンと頷いた。

  それから、たわいもない話をして午後の少しを楽しんだキャリーだった。