「!!」

 ドロシーが部屋に入ると、驚きの光景が広がっていた。

 魔法陣のメモが、壁のありとあらゆる所にガビョウで貼ってある。

 机には、何やら書きかけのメモとペンが投げ散らかしてある。

 本棚にはパンパンに魔法の本が詰まっていて、入りきらない参考書が部屋中に散らばっ
 ている。―――・・・ベッドの上にも。

 その魔法書や、参考書の中に囲まれながら、体を縮めてウォレストは寝ていた。

 決して綺麗とは言えない部屋だが、ウォレストの所だけはそうは思わなかった。

 地面に散らかっている本をうまく避けながら、ベッドの前にドロシーは立つ。

 「ウォレスト?・・・ウォレストぉ~。」

 ドロシーが、そっと言う。

 だが、ウォレストはやはり反応はない。

 「ウォレストってばっ。」

 ドロシーがウォレストの肩を小さく揺らしたその時―――・・・。