すると、キャリーの周りを
  いつもの薄紫の霧が、包んだ。

  ハァ・・・とため息をついたキャリーは、

  「悪いけど、ピーチを”出す”にはまだ早いわよ?」

  と言って、両手を腰にやった。

  「あら?理由無くここ(レース邸)に着ちゃだめなの?」

  すると、秘密の魔法使い・・・ドロシーの姿が確認できた。

  珍しく、魔法使い専用の服装だった。

  紺色のフード付きマントに全身を覆い、
  自己流の多数のペンダントやネックレスを着け、
  樹で出来た、先に丸い宝石をつけている杖を持っていた。

  ・・・その宝石は、まるでドロシーの瞳の色と同じだった。