ガタンッッッ―――・・・!!



 ウォレストが、勢い良く椅子から立ち上がった。

 今、ウォレストは変装中でオールバック。髪色もグレー。

 降りてきた前髪の間から、アンジュをにらむ。

 「ッ・・・!」

 ビビるアンジュ。

 「・・・アンタがどう思ってるかは知ったこっちゃねーけど・・・自分勝手なことぬか
  してんじゃねーよ。死んでったガキの事考えろよ・・・。」

 少しの沈黙が流れ・・・ウォレストは言った。

 「・・・サイテーだな。アンタ。」

 フッと、ウォレストは口の端を、片方上げた。が、目は笑っていない。

 「飯の事はありがてぇーけど・・・胸クソ悪(わり)ぃ。」

 そう言うと、ウォレストはアンジュの家から出て行った。

 「・・・ゴメン。アイツさ・・・エディーと同じ立場なんだよね。」

 シャインがコーヒーをすすりながら言う。

 キャリーとドロシーは、初めて知った事だから、アンジュと同様おどろいている。

 「そう・・・なの?」

 ドロシーが、声を震わしながら言う。

 「あぁ。それで、迷いに迷って・・・。俺がガキの頃、アイツと貧民街で出会って・・
  ・。」

 シャインは、カップを机に置いた。

 「・・・俺、ウォ・・・ヴァンを迎えに行ってくる。」

 キャリーとドロシーはコクンとうなずく。

 「どうしよう・・・。私・・・ヴァンの前で・・・。」

 涙目のアンジュの肩を、ドロシーが触れる。

 「大丈夫よ。アイツ、根はいいヤツだから。」

 シャインが、外へ出て行った。