”すっげぇ逢いてぇです。”

  キャリーは、泣きそうになった。

  けど、我慢するため瞳(め)を閉じた。

  そして、呪文のように繰り返し、こう唱えた。


    ”大丈夫。いつか、逢える・・・”


  瞳(め)を開けると、視界はもう滲んでいなかった。


  そっと便箋を封筒に入れると、昨日のように手紙にキスをした。

  「私も逢いたいよ。でも、もうちょっとだけ・・・我慢するから。」


  そう呟いていたら、廊下から足音が聞こえた。

  急いで鍵付きの引き出しに手紙を入れ、ロックした。


  ガチャ。

  綺麗なバラをモチーフとしたドレスを着た女性が、入ってきた。


  「キャリー?入っていい?」


  「って・・・ローズ叔母様・・・入ってから”入っていい?って・・・」

  「あ、意味ないわねぇ~!アハハハッ!ゴメンゴメン☆」


   この面白い女性は、キャリーの叔母。


   ”ローズ・レース”


   地位の高い貴族達は、彼女の事を「マダム・ローズ」と呼ぶ。


   ローズは、キャリーの母の実の姉で、苗字が同じなのは、両親がいないために
   形的には養子というようになっているが、実際の地位に変わりはない。
   誰にも媚びず、

   絡みやすく、また、メンドくさい人物なのだ。(笑)


   髪は肩のところぐらいまで伸び、緩くかかったウェーブが、
   彼女の大人の女のイメージを、少し欠けらす。
   が、本当に美しいひとは雰囲気からして魅力が漂う。

   名前のとおり、バラ系の物が好きだ。
   自分のドレスは、ほとんどがバラを彩ったものだ。
   また、キャリーのドレスのバラ系は全てローズがデザインしたものだ。