この地位のせいで、好きな女の子との文通も命懸けになる。

  この地位のせいで、その娘(こ)に会うことさえかなわない。

  この地位のせいで、愛しきその娘を抱きしめることさえできない。


      ”恋人同士なのに・・・”


  「・・・キャリー―――――――・・・」

  思わず呟いたその時、

  ガッ――――――・・!!!!!

  「かはっ・・!」

  シャインの頬を、ウォレストが殴った。

  「な・・・なにすんだよっ・・・?!」

  急な暴力に驚くシャイン。

  「・・・エクスカリバー邸(ここ)でアイツの事は言うな。」

  ハッと今頃気づくシャイン。

  尻もちをついたまま、うつむく。

  「それ・・・マダムや親父さんの前で言ってたら・・・。」

  「・・・わかってる。でもっ・・・!」

  目線をウォレストの方へ向けた。

  するとウォレストは、前髪をくしゃくしゃに掻き回した。

  その仕草は、ウォレストがいつも誰かの事を思って悩んだりする時の行動だ。

  「・・・黙っとけ?な?」

  「・・・おぅ、すまんな。」

  そう言ってシャインは立ち上がり、あるはずのないほこりをはらった。

  「・・・いつか、会える日がくるさ。」

   男でもドキッっとなってしまうその微笑みは、天使のようだった。

  「・・・おぅ。」

   つられて、シャインも微笑みを見せた。

     ”いつか、会える日がくる―――――・・・。”

   その日は、まだこないようだ・・・。


                第三話(完)