バッ!!

 キャリーは、リチャードから離れようとした。

 が、男と女。

 力の差は・・・激しい。

 「何・・・するの・・・?」

 「・・・純粋なお前でも、これくらいはわかるだろ。」


        『キスだよ』

 リチャードは、少し微笑んだ。

 その笑顔は優しかったが、キャリーには怖く見えた。


   急に“他人”に見えた・・・。

 「なんで・・・なんでっ・・・!」

 雨のような大粒の涙が、キャリーの大きな瞳からこぼれ落ちる。

 リチャードに、反省の色は・・・見えない。

 だが、心の中ではとてつもなく嘆いているのだ。

 「・・・キャリー・・・。」

 「・・・?」