「……大地先輩、呼ぶ?」
「…!!呼ばないでっ!」
玲皇君から急に出た言葉にあたしは過剰に反応して、呼びに行こうとした玲皇君を止める。
だって、あの子は大地が好きって言った。
その子にこんなことを言われたって言ったら優しい大地は絶対に傷つく。
自分のせいだって、絶対に傷つくから。
だから、大地には絶対に言えない。
言いたくないの。
「…俺が途中で入ったから、またややこしくなるかもな」
「…それでも、ありがとう。」
あたしが小さくお礼を言うと、玲皇君はびっくりしたようにあたしを見る。
「ひかり、泣きそう」
「え?」
玲皇君にそう言われて慌てて顔を上げると、玲皇君は意地悪な笑顔であたしを見ていた。
「泣きそうじゃないもん」
「強がってんでしょ。泣けば」
「泣かないよ」
「あ、そう」
「泣かないもん」
「…ぷっ…」
しばらく続いた会話の途中に急に吹き出す玲皇君。
「もう、泣いてんじゃん」
そう言って、いつのまにか溢れていた涙を指で優しく拭ってくれる玲皇君。
"優しい"
こんな言葉玲皇君からかけ離れてると思ってた。
だって、玲皇君は冷たいしそっけないし…笑ったと思ったらすぐ怒るし。
だけどね。
本当に嬉しかったの。
あの状況の中、あたしのおかれた立場を笑わないで助けてくれた事が。
だって、いつもの玲皇君なら絶対笑ってたでしょ?
それに、あたしが大地のことが好きなのだってバラしてたはずだよ?
なのに、玲皇君は何も言わずに助けてくれた。
それが、助けてくれたことよりもなによりも嬉しかったんだ。

