「鏡は気に入った者にしか、その力を分けてはくれぬ。その選ばれた者というのが、秋蛍、そしてお前だ」


「私?」


「そう。鏡は時に暴走する。だからお前たちは鏡を守り、鎮める。それが役目だ」


「でも……、私、何もわからなくて」


「心配しなくても、秋蛍がどうすればいいか教えてくれる。やつの機嫌次第だけどね」


華京はからかった笑顔を香蘭に見せて、椅子から立ち上がった。


「さて、夜も更けたし、わたしはもう戻る。香蘭もゆっくり休むといい」


「はい」


出ていく華京の背中を見ながら、でかかった声を飲み込んだ。

華京の着物の裾が部屋を出て、侍女がその扉を閉めてしまうまで


とうとう口に出すことはなかった。