目の前がさっと明るくなり、眩しさに目を細めた。


どうやら腹が切り裂かれたようで、外の景色が隙間から見える。


その隙間から、秋蛍が香蘭に手を伸ばしてきた。


香蘭は懸命に手に捕まり、腹の中からなんとか脱出した。

ハルたちも自力で出てきて香蘭たちのもとへ集まった。


腹を裂かれた魔物は、手当たり次第に手や体を打ち付けて暴れまわっている。


「これでも、死なないなんて……」


離れたところで、暴れまわる魔物を見ながら香蘭は呟いた。


力を体中に受けても、腹を切り裂かれても、生きている。


「こんなことでは倒せない。しばらくしたらあの傷もふさがってしまうだろう。倒せるのはこの、短刀だけだ」


秋蛍は手元の短刀を握りしめ、魔物を睨みつけている。


香蘭は黙りこみ、短刀を見て、それから秋蛍に視線を移した。


香蘭の視線を感じたのか、秋蛍が香蘭のほうに体を向けた。


「香蘭のお陰で結界を破ることができた。あとはこれを、あいつに突き刺すだけだ」


師匠が弟子を褒めるときのような調子で言われ、香蘭は唇を噛んだ。



突き刺すだけ、ではない。


それには彼の力と、命が捧げられることは確かだった。


香蘭は手を握りしめ、真っ直ぐに秋蛍を見つめる。