突然、香蘭の手に残った短刀が、ぱあっと眩い光を放ち始めた。


「これは……」


光を放つ短刀に視線を落とすと、トオルが静かに歩み寄ってきた。


そして、小さな手でそっと短刀に触れる。


「封印が解けました。短刀の封印が……」


「封印?」


この短刀が、封印されていたなんて初耳だった。


「その短刀は笙鈴さまのものでした」


トオルは短刀から手を離し、倒れた鈴王の脇に膝をついた。

そして憂いの表情を浮かべ、彼の頬に手を滑らせる。


「お二人に、お見せしたいものがあります」


膝をついたまま静かにそう言い、香蘭と珀伶を見上げた。


二人は戸惑いながらトオルを見つめる。

何が何だか、わけがわからずに混乱していた。


トオルは片手を鈴王にあてたまま、もう片方の手を軽くあげ、手のひらを天に向けた。

彼女が目を瞑ると、鈴の音が二人の耳に届いた。


先程鈴王を探したときとは違う、まるで子守唄のように柔らかな、優しい音色。


その音に導かれるように香蘭と珀伶は目を閉じた。


うっすらと、瞼の裏に何かの映像が浮かび上がる。

次第にそれは色をつけていき、まるであたかも自分がその場にいるかのようにくっきりと映し出された。

見覚えのある景色で、どこかと思ったら鈴国の城の中だった。