鈴王の言葉に、二人は息を飲んだ。


「父上の、首を獲れと!?」


「そうだ。獲れないようでは、わたしを止めることはできない」


「そんな……」


鈴王を止めるなんて無理だ。

力の差がありすぎる。


それに、実の親の首を獲るだなんて――


「お父様、もうこの城は落ちたも同然なのです。実権を握っていた宝焔皇子はもういません。これ以上進んでも、被害が大きくなるだけです」


なんとか説得を試みたが、鈴王は首を横に振るばかりだ。


「言っただろう。やり遂げなくてはならないことがあると」


香蘭は目を泳がせた。


父王の意志は強いようだ。

それほどまでにしてやり遂げなければならないこととは一体何なのだろう。


けれど、このまま兵を進ませるわけには行かない。


まだ穢れたままのこの地に、血にまみれた兵を通すことは……


香蘭は背後の王宮を振り仰ぎ、ぐっと手を握りしめた。


「わかりました、お父様。お父様を止めて見せます」


「よく言った。香蘭」


珀伶が顔色を変えて香蘭の肩を掴む。


「香蘭!わたしが……」


「下がれ珀伶。意志の弱いお前など、相手にならん」


王に嚇されて、珀伶は困惑しながらも香蘭から手を離した。


そんな珀伶を振り返り、香蘭は彼に微笑みかけた。