香蘭とハルは食事処に寄り、外の長椅子で雑炊を食べながら話に花を咲かせた。
「それでね、秋蛍のやつ、華京様に手伝いを頼まれてたんだけど」
「うん」
「驚いたことに、逃げ出してきて寝てたのよ。面倒事は嫌いだから」
「秋蛍様らしいわね」
ハルの頬にご飯粒がついていたのを、香蘭は人差し指でそっと取ってやった。
ハルはお礼を言うと、念を押すように香蘭に顔を近づけた。
「あいつは逃げるのも、嘘をつくのも得意だから。リンも気を付けてね」
「もうやられちゃったわ。秋蛍様は、ハルがハルの姿でいられるのは陽が射してる間だけって
言ってたのに、ハルは夜でもハルだものね」
ハルは眉を寄せて、首を横に振った。
「いや、それはあいつの言い方が悪いのよ。正確に言うと、寝るときと弱ってるときは、鏡の姿に戻るの」
「なるほど、説明が面倒だったわけね」
くすくすと笑ってから、雑炊を食べ終えた香蘭は箸を置いた。
「そういえば、ハルと秋蛍様はいつ知り合ったの?随分仲がいいみたいだけど」
これは前から気になっていたことで、二人の幼馴染のような仲の良さが不思議だった。
ハルは口を尖らせて、ふいと顔を背けた。
「仲良くないよ。あいつとは、ずっと昔からの付き合いね」
「ずっと昔?」
「そう。ずーっと、ずーっと昔からよ。リンは何も覚えていないの?」
「え…」
香蘭は目を瞬かせた。
覚えていない、とはどういうことなのだろうか。
香蘭が二人に会ったのは、つい最近のことなのに。



