香蘭にとって珍しいものばかりで、足がむずむずするのをこらえながら一軒一軒じっくり見て回った。


変わった異国の人形、美味しそうな餅や団子、お洒落好きの女の子たちが集う呉服屋。


城の中より、何もかもが輝いて見えた。


「お嬢ちゃん、どうだい?髪紐買っていかないか?」


「えっ」


中年の男に手招きされて、香蘭はその店を覗き込んだ。


ずらりと色とりどりの髪紐が店先に並べてある。


香蘭はその中のひとつを手に取ってみて、眉をさげた。


「私はまだ髪が短いから、せっかくの綺麗な髪紐が映えないわ」


それを聞いた男がいやいや、と首を横に振る。


「そんなことねえよ。お嬢ちゃんにつけて貰えたら、こいつらも喜ぶにきまってらぁ」


「そう?」


ふふ、と男に笑いかけ、手にした髪紐に視線を戻した。


「秋蛍様ならどうかしら」



綺麗な緑色の髪紐を見て、秋蛍の珍しい黄緑の瞳を思い出した。



あの瞳は、本当に神秘的だと思う。


見ていると、淡くて、儚くて、切ないような、そんな感情をたまに引き起こされる。