店主に勘定を済ませて店を出ると、秋蛍はまたハルの手を取った。


いろいろと鏡を見て回って機嫌よさそうにしていたハルが、途端に嫌そうに口をへの字に曲げる。


「次はお前だ。鏡研ぎの職人のところへ行くぞ」


「ええー、やだ。痛いんだもの」


「身だしなみは女の命だって、いつも言ってるのはお前だろうが」


ハルはしぶしぶ頷き、足元に転がっていた小石を蹴った。


秋蛍はそんなハルを見て小さく息をついてから、香蘭に顔を向けた。


「鈴はどうする?鏡研ぎは時間がかかるから、好きにしていいけど」


「あ、それじゃあ私、もう少し見て回ってきます」


「ええーっ!リン、あたしをこいつと二人にする気っ?殺されちゃうよ!」


「文句言うな。…鈴、回り終えたら宿に戻っていろ」


香蘭にそう伝えると、喚くハルの頭をはたいて、香蘭から離れていった。



「ふふ、やっぱり仲良しよね、あの二人」



香蘭はハルが秋蛍に引きずられていくのを見送ってから、店を見て回った。