「言っただろ、願いの鏡の流れは桁違いだって。今のお前じゃ何日寝込まされることになるか」


「ひっどい、またあたしのことをそんな風に言って!」


「本当のことだろ」


二人の言いあいを見てくすりと笑いながら、香蘭は鏡のたくさん並べてある棚に視線を移した。


小さいものから大きいもの、どこにでもある普通のものや変わった形をしたものまでこれまたいろいろとある。

その中の一つ、硝子が使われた鏡を手にして香蘭は目を丸くした。


「すごいですね、硝子鏡だなんて、鏡国は文化が発達しています。硝子なんて、鈴国ではお父様のお部屋にしか使われていなかったもの」


「当然だ。お前の国のような蛮国と一緒にするな」


「蛮国…」


秋蛍の言いようにくすりと笑いながら、硝子鏡の隣にあった手鏡を手に取った。


「私、これにします」


秋蛍は香蘭の手にしている鏡をじっと見た。


「どうしてそれを?」


「この子が、わたしにしてって言うんです」


裏に桜の模様が彫ってあるだけの何の変哲もない普通の鏡を、香蘭は愛しそうに指先でなぞった。


秋蛍も、少し口角をあげて頷いた。


「じゃあ決まりだな」


「はい」