ハルはそんなことは気にせず秋蛍の着物の袖を掴んでまじまじと見ている。


そしてぽつりと一言こぼした。


「秋蛍は女物の着物を着た方がよかったんじゃないかな?」


香蘭はぱっと秋蛍の顔を見上げて、それから大きく頷いた。


「そう言われてみればそうね。秋蛍様がこの中で一番美人だわ」


「ほら。ね?」


秋蛍は一瞬香蘭を見て目を見開いた後、にやにやと笑っているハルを睨んだ。


「じゃあ、一番美人じゃないのは鈴だな」


「う」


確かにそうだけれども、と思いながら俯いた。




そんな、はっきり言わなくても。




「ここにいても仕方ない。行くぞ」


「わ、離してよ、痛いったら!」


秋蛍は乱暴にハルの手を掴むと、さっさと歩きだした。


「あ、ちょっと!」


相変わらずせっかちだ、と思いながら、二人の後を追いかけた。



秋蛍は歩くのが速い。



はぐれないようについて行きながらも、香蘭はきょろきょろと辺りを見回すのに忙しかった。