ハルに着物を着せ終えて外に出ると、秋蛍が戸の隣で壁に背中を預けて待っていた。


香蘭は笑って、ハルの背中を押しながら、秋蛍に声をかけた。


「お待たせしました。見て、かわいいで…」



可愛いでしょう、と言いかけて、はっと息をのんだ。



香蘭たちと同じように、秋蛍も着物を変えていた。



黒い袴はどこかへ消え去り、今朝羽織っていた藍色の着物を着こなしている。


町人がよくしている、着流し姿。



美しすぎて、香蘭はぱくぱくと金魚みたいに口を動かした。


秋蛍が振りくと、赤の髪紐で高い位置に一つに束ねてある長い髪がさらりと揺れた。


「遅かったな」


「え?そ、そうですか?」


香蘭は慌てて目をそらした。



なんとなく目があわせられない。



秋蛍は黒が一番似合うけれど、藍色も似合うかもしれない。


とにかく今の秋蛍はさっぱりとした青年風で、今までとは全く雰囲気が異なって見える。


「相変わらずとろいな」



中身は変わっていないようだけれども。



口を開くと残念だ、と思いながらハルに目をやると、香蘭と同じくハルも物珍しそうに秋蛍を見ていて、それに気づいた秋蛍が不愉快とでも言いたげに顔を歪めた。