ハルはきゅっと唇を噛んだあと、俯き、やがて小さな声で呟いた。
「わかった。リンが、そうしたいのなら」
そして顔をあげ、にっこりと口角を上げた。
「あたしも協力するよ」
「ありがとう、ハル!」
香蘭はぱっと顔を明るくしてハルに飛びついた。
ハルが協力してくれることほど心強いことはない。
ハルはいたずらに片目を瞑って見せた。
「あたしは秋蛍より厳しいよ。まずは流れに耐えられるようにしなくちゃね」
「うん!……あっ」
そこで香蘭は、自分が何のために急いで戻ってきたかを思い出し、黙っていた秋蛍に顔を向けた。
「そういえばさっき、水面に映った自分の姿を見ても何ともなかったんです。いつもは気持ち悪くなるのに、むしろ、心が落ち着くような」
秋蛍は腕を組み、にやりと口角をあげた。
「へえ、少しは成長したんだな」
「え?」
「水鏡程度の流れには慣れたってことだ」
香蘭はぱちぱちとまばたきをしたあと、胸に手をあてて俯いた。
「そうなんだ…」
何も変わっていないと思っていたけれど、気づかないうちに少しだけ成長していた。
なんとなく嬉しくて、香蘭は嬉しさに頬を染めた。
これで一歩、近づいた。



