それから二人は他愛のない話をして過ごした。


仕事はどうするのかと香蘭が心配していると、もう終わったのだという。

嘘だとは思ったが、香蘭も兄と一緒にいられるのがうれしくてそれ以上は何も言わなかった。


珀伶が先日言ったという狩りの話を聞いているときだった。


襖が開き、ふと目をそちらにやった香蘭と珀伶は驚いて居住まいを正した。



なんと王が入ってきたのである。



王は襖の前まできていた従者をそこに待たせ、襖を閉めた。


「お、お父様、お久しぶりでございます」


香蘭が頭を下げると、王はただ頷いた。


「倒れたそうだな」


「はい。でも、もう平気です」


「そうか」


王は珀伶に視線を向け、下がれと合図した。


珀伶は戸惑いながらも、王の命令に従い部屋を出て行った。




香蘭は王と二人きりになり、どうしたらいいかわからずにただ座っていた。



いままでろくな会話もしたことがないのだ。


どう接すればいいのかがわからない。




王は珀伶の足音が消えるのを待ってから、香蘭の前に腰を下ろした。


「このようなときで悪いが、お前に重要な話があるのだ」


「お話……?」


香蘭が首を傾げると、王は頷いた。