数日後、香蘭に恐れていたことが起きた。



朝起きて、いつものように身支度を整えている最中に、香蘭をあの眩暈が襲った。







「大丈夫か、香蘭」




目を覚ますと、見慣れた部屋の天井と、綺麗な珀伶の顔が目に映った。


眩暈に耐え切れず、とうとう倒れてしまったのだと香蘭は悟った。



香蘭の部屋は人払いがしてあって、ついているのは珀伶だけだった。



珀伶は横になっている香蘭を心配そうに覗き込み、自ら手ぬぐいを替えようとしている。


「そんなことしなくていい。王子なのに」


「王子であるけど、お前の兄だよ。――香蘭、やはりあのとき、薬師を呼ぶべきだったんだね。無理をしていたんだろう」


珀伶は、先日彼の目の前で香蘭が立ち眩みを起こしたときのことを言っているのだ。

香蘭は急いで首を横に振った。


「あのときは、本当にすぐ治ったの。だから、大丈夫だって思ったのよ。お兄様は悪くないわ」


「お前はいつも無理をするからわたしは心配なんだ」


香蘭は珀伶の優しさに、胸がじんとなった。




こんな私に、ここまで優しく接してくださるのはお兄様だけ。




お兄様のためなら、私はなんだってする……