彼女は何を見てるのだろう。レストランに入り、ワインを飲んでみようかなと照れたように笑ってから、俺と目が合わない。

 彼女の為にこのレストランを予約したのはこの俺だ。確かにこの場所から見える夜景が綺麗なことを俺も知っている。

 しかし、二人きりでいるこの時間、彼女と目が合わないのは、まずいのではないかと思い始めた。

 俺は彼女しか見ていない。夜景なんてどうでもいい。

 彼女は俺を見ていない。優しい顔で夜景を見てる。