ムカシノキオク

「朱奈?」
「ん~?」
「これって、アタシいる意味あるの?」
「あるある~♪」
なんか……朱奈のテンション可笑しくない?
ギュッ
朱奈がお兄ちゃんに抱きついた。
なんだかイライラしてきた……。
--------------「ばかッ!!!!!!!」
はっきり聴こえた声。
どこか、アタシに似た声。
アタシは辺りをキョロキョロした。
どこから聴こえたのかわからない、アタシに似た声は一体誰が発したものなのか……
「野中…?」
そんなアタシを不信に思ったのだろう。
朱奈ではなく…………お兄ちゃんがアタシの名前を呼んだ。
-----------ドキッ
名前を呼ばれただけなのに…さっきまでイライラしていた気持ちが吹っ飛んだ。
………………どうしたんだ?アタシは……
「野中!?」
次は朱奈が少し不機嫌そうに呼んだ。
「………ん?」
声が聴こえたのが気になるのか、お兄ちゃんに名前を呼ばれドキッとしたのは何故なのか知りたいのか、あるいはどちらもなのか…
つい素っ気ない返事になってしまった。