細かく言えば、俺は三男坊だから、 実質は兄貴が後継者だ。 でも、 ナンパの場面でいうことではないので とりあえず、御曹司ってことで。 「まぁ、そうです。」 そしたら、彼女が まっすぐに俺を見つめていったんだ。 「すみません。 御曹司なんて、 まっぴら ごめんです」 そのまま、くるりと背を向けて、 タイミングよく 青になった横断歩道を渡っていった。 ボー然とする俺をおいて。