俺は、とりあえず
はーっと息を吐いてから、

「聞いてる。
 すぐに戻る。」

≪すぐって どこにーー≫

相手の話を遮るように

通話をぶちっと切った。


あー、
怒ってたな。

そりゃ怒るよな。

ちらりと腕時計をみると
とっくに予定の休憩時間は過ぎていた。


「ねぇ、もう一杯
 コーヒー貰える?」

正樹兄は驚いたように
俺を見つめて、
「だいじょうぶか?」

とか言いつつ
もう一杯
今度は、アイスコーヒーを注いでくれた。


「あー
 俺の秘書『超優秀』だから
 大丈夫。」

そんなことを思いながら、
優秀な秘書の
ご立腹な顔を思い浮かべる。

だって、
わるいけど、
こんな気分じゃぁ、
仕事にならないし。

気分はしっかり切り替えないとな。

なんて、軽く自分に言い訳しながら
アイスコーヒーをぐいっと一気飲みした。