パシッ。



左手首をつかまれる。



「え?」



つかんだのはもちろん和夜だった。



「逃げんなよ」



少し切ない声で言う。



「いやぁ。逃げてなんか...

ただ、私は奈々が心配で......」



いや。



もしかしたら逃げたかったのかもしれない。



「お前、大丈夫じゃないだろ。
藤城にフラれて。

この際、俺のもんになれよ。」



和夜は甘く私の耳元で囁く。



「っっ////...」



祐飛はヨリ戻す気あるのかな?



バンッ。



急に背中が冷たくなる。



「ぇ。な..にすんの?」



祐飛に無理やりキスされたときみたいに、私に逃げ場はない。



手首を固定されていて首を動かすくらいしかできない。



ただ、私は嫌でもないと思ってる。