冬の花




「もう私は、冬花から離れないからね。」


「う、ん。」



私は返事に戸惑った


だって“もう”って前にあったって事?



でも、そんな訳がないんだ



だって美咲に初めて会ったのは

中学に入ってからだから




「やっぱ覚えてないよね。」




諦めたように美咲が呟いた




覚えてないってどういう意味?






私は気になって振り返ると

さっきあったぬくもりはもうなくって



美咲がおどけたように笑ってた




ドクンッ




どこか懐かしい感じの笑い方だった



別に悲しくもないのに

涙が流れ出した