桜木くんがいなくてもいつも通りに
早々と時間は過ぎていく
私の隣には寂しげな空間だけがあって
そこには温かい笑顔も優しさもない
手紙に
その切なさに
涙が零れた
「冬花帰ろう。ってもう、強がるな。」
「うん。でも、大丈夫。」
ハンカチで涙を拭って笑う
本当は手紙に書かれていたことも
桜木くんがいないことも悲しかった
今、朝倉先輩が桜木くんをどうしてるか
なんて知ることは出来ないけれど
私が強くなって先輩に負けなければ
きっと桜木くんに酷いことはされない
「帰ろう、美咲。」
「うん。」
かばんを持って教室を後にした



