ピンポンピンポンピンポン----

玄関のチャイムがけたたましく鳴って

扉を開けると遥火を背負った安藤くんと

荷物を担いだ山根くんが立っていた。

「ど、どうしたの?」

「会社で倒れて、病院に連れてこうとしたら、

 どうしても鮎川さんとこに連れてけって聞かなくて

 夜分女性の部屋のすみません。」

「大丈夫、私鍵預かってるから、今開けるね。」

慌てて部屋の中に鍵を取りに行こうとして、

遥火に腕を掴まれた。

「ここでいい。」

「滝沢さんダメですよ、鮎川さんに迷惑ですよ。」

「ここがいい。野乃眠りたい。」

「うん、分かった。

 安藤くん、こっち運んでくれる?」

「鮎川さん。いいんですか?」

「うん、こんな状態じゃ何も起こらないわよ。大丈夫。」

安藤は渋々、野乃のベッドに運び、遥火を寝かせてから、

「俺もここに残ります。」

というのを、

山根が窘め帰っていった。