Material Boy

牧口が言っていたことは良くわからないが、

遥火が精神的に参って熱を出していることだけは理解できた。

どうしたの?

何にも動じない遥火が、参るほどのことって何?

息を荒くしながら、

ソファ-に身体を押し付けている遥火を

ベッドに運ぼうと抱き起こそうとしたけれど、

野乃じゃあ遥火にとって「大木に蝉」とでもいう感じだ。

全く動かせそうにない。

牧口はどうやって遥火を運んだんだろう?

その様子を想像するだけで、

嫉妬で狂いそうになる。

なんでも知ってますみたいなあの態度。

『付き合ってるのね?フーン』

みたいなあの視線が妙に悔しい。