Material Boy

とりあえず、点けたままではまずい。

預かっている鍵を取りに部屋に戻ろうとしたとき、

カチャリとドアが開き、

出てきた人を見て息が止まった。

「あら。」

その人は表情も変えずに野乃を見つめた。

「二人はそういう関係だったのね?」

牧口が広角をきゅっと上げて

意地悪そうに笑った。

「牧口さんこそ、どうして?」

「送ってきたのよ?向こうで急に熱が上がって、

 倒れてしまったの。

 どうやら、精神的なものらしんだけど、

 帰国を勧められてね。

 何があったか知らないけど、

 アメリカで何かあったみたい。

 彼女ならなんとかしてあげなさいよ。

 じゃ、あたし行くから。」

何事もなかったように部屋を出ていった。