Material Boy

タクシ-にス-ツケ-スを預け、住所を告げ乗り込んだ。

野乃のいらいらした気持ちは、滝沢の左目にすっかり毒気を抜かれてしまった。

「気になってるみたいだね、俺の左目。」

「別に、、」

「まあ、理由説明もできないんだよね、俺は親に捨てられた子だから。」

「大抵はカラ-コンタクトで色味合わせるんだけど、これから毎日会うんだし

 知っててもらおうかと思って、鮎川さんにもいちごちゃんにもね。」

滝川は右目を軽くウインクした。

どう答えていいか分からず無言でいる野乃に、

笑いを掛けて、

「堅いな、その堅さが君の魅力だ。」

そう言って目を閉じた。