Material Boy

「おい野乃、いや、鮎川。

 よくも俺を置き去りにしたな。」

 
遥火は、野乃の腕を引っ張った。


「あの場合しょうがないじゃない。

 途中で連れ帰るわけにいかない状態だって、、」


じろりと野乃を見上げて、


「お前が行くのに気がついて、背中を見送った時、

 置いてけぼりくらったみたいで寂しかったんだ。」


目を伏せた遥火の顔が心底寂しそうで、


「ああ、声だけでもかけたらよかったね。ごめんなさい。」

英語圏の人は簡単にsorryを簡単に口にする。

それはこんなふうに自分の思いを素直に口にできるからなんだな。

謝ることばも自然にでる。

「ごめんね。」

もう一回口にする。

「ん、、。」

遥の手が野乃の頭をぐいっと掴んで抱きしめた。

きゃあ、、

バックヤ-ドで良かったこんなの見られたら大変。

っと思って、周りを見渡したら

室長と山根くんがふぃっと視線をそらした。