テ-ブルの横にコロンと横になって

眠ってしまった遥火の頬を撫でる。

「こんなの親が見たら卒倒しちゃう。」

定年間近な厳格な父。

当然のようにそれを支える母。

絵に書いたように従順で良くできた娘。

優良企業に就職し、気に入った相手とお見合いさせ、

婿をとる。

父の描いた理想の未来。


ついこの間までそれでいいのだと思っていた。

誰も傷つけない、傷つかない、

穏やかでたいくつな日々が私の人生。

それが、私の罪に対する償いなのだと。


「ごめんなさい。

 でも、もう止まらない。」

野乃は、無防備なこの男を

愛したいと心から感じていた。