「あの時言ってましたよね。

 あわよくばってどう言う意味ですか?」


野乃は、あの時ちょっとお酒が入っていて大胆になっていた。

だから、シラフになら絶対選ばない言葉だった。


「さあ、どういう意味かしら…

 あの時はチョット酔っていて、多分…」


そう言いながら思い当たったことを想像して真っ赤になってしまった。


「言わずもがなですよね、、

 はあ、同じフロア-にいた時に主任に気がついていればなあ。」


野乃は、しばらく黙って、

そしてゆっくりと話だした。


「気がつかなかったんじゃないの、


 気がつかれないようにしてたの。


 人と深く付き合うのが嫌で、


 なんでも、無難にこなす。


 それが私だった。



 今の部署になって、


 少しずつ意識が変わったの。


 だから、

 つい最近まで私はとてもつまらない人間だった。


 多分、



 あなたや、仲野さんの興味を持ってくれた私は


 変わってからの今の私なの。」